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2008年3月18日 (火)

2009モデル試乗 - インプレッション

Nec_0254
試乗会、終わった後ですが、パシャリ

土曜日、尾瀬岩鞍で行われた、ミナミスポーツ主催の2009モデル試乗会に、新井さん@Laboratorism と行ってきました。
試乗会は初めてで、今まで空想が主だった自分のスキー板論が、だいぶクリアなったように思います。

当日のコンディションは水分を含んだザラメで、春を通り越して夏のよう。1種類の板に対してクワッド2本分を試乗し、テストした斜面は、中斜面不整地、緩斜面、クロスコース、パークといった具合でバリエーションに富んでいます。コース脇の重く深い湿雪や、段差ジャンプもあって短時間の試乗ながら、板の感触をある程度つかめるルーチンで、10時から3時までノンストップ。計11モデル(内1本は自分の板)を滑りました。

Laboratorism にもインプレッション記事がアップされていますので、併せて読んでみてください。

自分が忘れない為のメモ的な部分もあるんで、かなり長文ですし、完全主観的です。
でも来シーズンの板の生の意見は、まだあまりないし、なかなか興味深いと思うよー。では行ってみましょう。

※文中に「逆ベント」、「逆キャンバー」、「ロッカー」という用語が出てきますが、基本的に同意語です。ベントは曲がる、反るの意味で、逆キャンバーはキャンバーが通常の逆になっている意、ロッカーはベントの量、すなわちどれだけ反っているかということです。
※一応、板の性能をそれぞれの分野で1~3でスコアしていますが、そのときの「インプレッション」であり板の性能そのものではないです。


Shift_2
Vector Glide  -  Shift  (188cm / 130-100-120 / R17)

まず、重くて、硬くて、トラディッショナルなイメージのVector Glide。予想通り、重くて、硬くて、手に負えない。板の上に乗ってフォールラインにトップを向けていけば、どっしりとした安定感でいくらでもスピードを出せそうだが、自分からターンを仕掛けていくのには体重と脚力が足りない。粘りがあるので、技術と脚力のあるエキスパートスキーヤーはバックカントリーで悪雪を蹴散らすようにハイスピードで滑れそうだが、今のトレンドの板では無い気がする。ビンディングの取り付け位置とサイドカーブが合っていないのか、スイートスポットが変な場所にあり、腰の位置をうまく調整しないと板が踏めない。今乗っているB3に似たコンセプトの板だと思う。B3よりすこし重いかな。シュートをストレートアウトしたり、クリフを飛んだりという北米スキーリゾート内でのチャレンジングなラインを行くには良いかもしれない。Vector Glideの板は他にCordova、Mustiffなどもあったが、Shiftがこんな感じだとなぁ・・ってことで他のVector Glideの板を乗る気がなくなる。

スピード:3 直進走破性:2 ターン:1 スライド:1 パウダー(予想):2


Seth
K2  -  obSETHed  (179cm / 138-105-125 / R21)

次に乗ったのは、K2の中では比較的オールラウンドな位置付けであるセス・モリソンの最新シグネチャーモデル。去年までのミニロッカーよりさらにトップのロッカー域を広げ、テールもロッカーにすることで逆キャンバーに近くなっている。全体的にやわらかいが、特にトップはやわらかく、ノーズプレスがしやすい・笑!肝心な滑りだが思ったよりも普通。ただ、フラットでの接雪面積が短いため、直線的な滑りではかなり不安定に感じる。このようなトップ形状なので、トップをきっかけとするショートターンは苦手。ただし、サイドカーブがきちんとついているのでカービングは調子よく、カービングしている間は接雪エッジ長があるためスピードを出しても安定する。試乗板が179cmと実戦投入するには短いので、ぜひ189cmに乗ってみたい。トップの形状とフレックスはパウダーで調子よさそう。

スピード:2 直進走破性:1 ターン:2 スライド:2 パウダー(予想):3


Fuja
K2  -  Kung Fujas  (179cm / 126-95-120 / R-)

続いて、Pep Fujasのシグネチャーモデル、Kung Fujas。前モデルよりも太くなり、バックカントリーでも使えるディメンションに。アウトライン、フレックス的には使えるかな?と期待してみたものの、全くダメ。スキーが下手になったのではないかと思うほどターンもしづらいし、安定しない。板がイキイキしてないし、良いところが見えず。このすべての原因は、どセンターで取り付けられたビンディングの位置に起因するようだ。ターン切り替え時のトップの詰まりや、板に乗ってグライドしていけないのは乗る位置に対して、サイドカーブが合っていないためだと思う。もう5-6センチセットバックすればだいぶ変わってくると思う。

スピード:1 直進走破性:1 ターン:NA スライド:1 パウダー(予想):2


Hell
K2  -  Hellbent  (189cm / 150-122-141 / R23)

ザ・逆ベントのHellbent。フレックスはやわらかくデロデロでサイドカーブは深め。逆ベントの板は、この日が初めてなので興味度はかなり高かった。で、当たり前だが、足元を中心にぐるぐる回る。緩斜面でのエッジングは足元で行い、長いトップとテールの重さが辛うじて安定感を増している感じ。なので、不整地での安定感はある訳もなく、しかしこんなキャンバーの板でもちゃんと滑れるのは、ある意味驚き。ある程度、面の整ったバーンでカービングを試みると、きっちりカービングが決まる。これも驚き。逆ベントの反り以上のターン弧でカービングすれば、深いサイドカーブとやわらかいフレックスで接雪エッジ長が増えるので、ちゃんとカービングができる仕組み。なるほどなるほど。これはobSETHedにも共通して言えることだ。パウダーでの浮力、取り回しはボーティ(ボートのような)で楽チンなはずなので、パウダーからパウダーへの移動がこれだけ滑れれば(面白くは無いけど)合格点でしょう。

スピード:2 直進走破性:1 ターン:1 スライド:2 パウダー(予想): 3


X2
Salomon  -  Demo X2 (170cm / ?-?-? / R-)

いきなりデモ板。最近のデモ用の板はどんな性能なのかな?という興味で乗ってみた。ともかく動きがクイックで操作が楽。イメージとしてはF-1のマシンのようなシビアなハンドリングに、指一本で操作できるパワステのような扱いやすさをプラスした感じ。「ああ、最近のデモンストレーターってこんな楽な板に乗ってるんだな。ずるいな」って感じ。しかし中斜面不整地のコブではずらしが効かず、取り回しが悪い。カービングは得意だが、このようなコンディションではセンター幅が狭いこともあり、一転、気難しいスキーになってしまう。面が整ったところでカービングをしてみるが、なぜか外足が失速しスタンスが広がってしまう。なぜだ?とよく見るとブーツの内側が雪面に当たってしまっていた。この板は、締まった圧雪かアイスバーンは得意だが、春スキーやオフピステには向いていない。ビンディングにプレートを噛まして高くマウントすれば良いのかも。

スピード:2 直進走破性:1 ターン:3 スライド:1 パウダー(予想):NA


Infradark
Amplid  -  Infradark  (191cm / 136-107-125 / R27)

真っ黒な正体不明(?)の板。もちろんAmplid自体は知っていたが、その実力はつゆ知らず、期待せずに試乗。手に持つ、軽い。よく見る、カーボン繊維がロゴにそって透けてる。中斜面不整地では軽いのになぜか安定感があり、コブ混じりの不整地での大回りカービングや、ちょっとしたクイックなターンもこなせる。緩斜面ではセンター107mmなのにしっかり踏んでカービングができる。反応は早いがクイックすぎでもなく、適度にファジーで扱いやすい。止まって一言、「たのしー、これいい!」。フレックスは、ある程度やわらかめなのだが、カーボン特有なのか張りがありレスポンスが良く、この辺はDPSに似ている。ディメンションもこれぐらいがバックカントリーを含むオールマウンテンを滑るなら最適な気がする。フォールラインにトップを落としてチョッカっても、安定しているし(B3ほどではないにしろ)、バランスが取れた板だと思う。試乗した中ではNo.1。

スピード:2 直進走破性:2 ターン:3 スライド:3 パウダー(予想):3


Zag
Zag  -  Zag gold93  (191cm / 140-93-118 / R16.5)

新井さんのZagに試乗。この板、ロングノーズ+深いサイドカーブ+硬いフレックスな板。まず乗ってみて思ったのが「お、滑る」。フッ素ワックスはシャバシャバ雪で調子いいな。ターンの導入はノーズが広いのも手伝って非常にスムーズで、いったんターンが始まるとターン中の安定性は高い。しかし気持ちいいターンの割に、ずれが多いのはフレックスが硬いせいだろう。これは決して悪いことではなく、きちんと膝を入れて踏んでやれば、硬い板なのにギューンとカービングが決まりオモシロイ。トップの大きなスプーンのような形状で、ザラメの溜まったような場所はトップで圧を受けるものの、板全体が硬いので不安定感はない。ユニークな形状だが、1本でパウダーもゲレンデも滑るならこの板は楽しいと思う。「あー、新井さん、こんなオモロイ板に乗っていたんだ」。上級者ならこのスキー、試してみる価値十分ありです。

スピード:2 直進走破性:2 ターン:3 スライド:3 パウダー(予想): 2


Teddy
Amplid  -  Teddybare  (185cm / 136-107-125 / R-)

先に乗ったInfradarkがあまりにも調子が良かったため、Amplidの実力を見るためにInfradarkと同じディメンションで、別構造、別サイズのTeddy Bareに試乗。この時、新井さんが、どモーグル板を試乗していたこともあって、自然コブのコースへ。コース脇は山でよく見かける、滴るほどの水分を含んだ湿雪パウダーで、あえてそこに入ってみた。107mmの幅はこんな悪雪でもスキーを取られることなく、切り裂き、スキーを踏めばスラッシュする。板が短いこともあるが、明らかに悪雪でスキーが取り回しやすく、スキーの基本性能が高いことが分かる。浅いコブにも入ったが、幅広のおかげでかなり窮屈だが、ちゃんとコブの裏を削りながらのターンができるし許容範囲が広い。Amplid、ともかく乗った2本で言えることは、作りも性能もしっかりしたいいメーカーだということ。注目です。

スピード:2 直進走破性:1 ターン:3 スライド:3 パウダー(予想):3


Mantra
Volkl  -  Mantra  (170-177-184-191cm / 133-96-116 / R-)

前モデルは、硬くて扱いにくいと聞いていたMantra。今回試乗したモデルはフレックスのあおった感じやディメンションを見ると、Karmaを全体的に太くしてもう少しオールマウンテンに近づけたコンセプトのようだ。足元の感じはKarmaに似ているが、ターンはすこし鈍感で扱いやすいものの、Karmaと比べるとどうしても劣等生な感じ。センターが96mmだと、ファットスキーとは言えず、ゲレンデの雪面に噛み付くもののKarmaほどでないし、安定感が増したかといえばそうでもない。サイドカーブがあるので、緩斜面で低速でもきっちりカービングができる。これはこれで面白いが得手、不得手がはっきりせず、バックカントリーに持ち込むには役不足、ゲレンデで遊ぶには特徴がないという感じ。察するに、悪雪での取り回しはKarmaより良さそうだが。ツインチップではないのでパークでの使用は想定外か。

スピード:2 直進走破性:2 ターン:3 スライド:2 パウダー(予想):2


Chop
Volkl  -  Chopstick  (185cm / 148-128-148 / R32.4)

硬くて、太くて、リアル逆ベント。K2のHellbentよりもロッカーは押さえ気味のようだが、今回の試乗会では1、2を争う変態板。足元が重く感じ、足首が固定されたような硬さを感じる。幅が広く、サイドカーブがなくてフレックスが硬いため、エッジを立てるとすねの横に圧迫を感じる。これはセンター120mmでサイドカーブがほとんどないDPSにも同じことが言えるがそれを強くした感じ。パウダーではこの幅の広さとフレックスの硬さで、テールをストールさせてワイパーのように左右へ板を振る感じで滑るのが調子良さそう。パウダーをパークの雪面に変えてしまうような、サイドスライドやフェイキーなど、そんなことができそうな気にさせてくれる板。バックカントリージビング、キッカー、クリフやマッシュなどのワンメイク用の板だと思う。

スピード:1 直進走破性:1 ターン:1 スライド:3 パウダー(予想):3


Karma
Volkl  - Karma  (177cm / 119-87-111 / R22.3)

とりあえず「基準」ということで自分の板。うーん、滑ってる間に「たのしー!」と声が出るくらい良い。純粋に良い板だと思う。春山やゲレンデでの使用を考えて購入したため、このようなコンディションは得意。フレックスは硬いため、ハイスピードでも板の長さの割りには安定しているし、カービングも自分が踏んだ量だけ、加速しながら切りあがる。うん、楽しい。まあ不得手といえば、短いが故の悪雪走破性か。ストップ雪やシュカブラでは操作が難しくなる。センターが87mmあるのでパウダーも滑れるが、もう少しセットバックするか、長いサイズでないと厳しい。まあ、自分の狙った使用用途では、今のところ不満足な点がない。パークも入れて、オールマウンテンの性能がキチっとしてるこういう板は、もっと増えてもいいと思う。キッカーでのポップもあるし、着地のリカバリーもやりやすい反面、硬すぎてグラトリには向かない。

スピード:3 直進走破性:2 ターン:3 スライド:3 パウダー:1



メシも食わず、休憩もせず全力で滑っていたので、集中力の低下と疲労で公平な見方ができていないと思います。
ただ、これだけ特徴的な板をとっかえひっかえ乗ってみると、アウトラインやあおってみたフレックス感じで、だいたいの板の性能は予想がつくことが分かりました。
あと、板のサイズ、フレックス、ディメンション、キャンバー、ロングノーズがそれぞれ板の性能にどのくらい影響しているのか、それぞれのコンビネーションがどのような結果を生むのか、だんだんと相関関係が見えてきた。あとはもう少し頭の中を整理すれば、自分のほしい板の理想像が見えて来そう。
新井さんと、あーだこーだと板についてしゃべりながらの試乗会だったのも、今思えば良かったなと。試乗会に行くなら、道具オタクと行くのがオススメですよ。

尾瀬岩鞍からの帰りは、The 群馬県人の新井さんの案内で、焼き饅頭をほおばり、空中風呂で汗を流し、新井さんの「動かない家」にお邪魔して、新井裕己のルーツを垣間見てきました。あー、おつかれさまでした!

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コメント

住民票は未だ東京ですが、住所不定というのが正しいですな。

ロッカーの云々について記事書いたのでご覧あれ。

Zagはパウダーでロングターンはまあまあだけど、ショートターンが面白い。キャンバーとトップの浮きとセンターの沈みが、ナイスなフェイスショットを生み出すのです。

「動かない家」こと実家では、布団敷くのが面倒なので、結局車で寝てるしw。

投稿: Laboratorism | 2008年3月18日 (火) 13時14分

いろいろとスキーのデザインを考えていたら、だいぶ分かってきました(つもり)。
ただ、やっぱり想定の部分が相当入るので、まだまだ勉強がたりんな、と。

まあ、結局、どんなスキーでもある程度、体が対応しちゃうんで(慣れ)なんでもいいんですけど・笑

結局、「動く家」でしか生活してないんですねー。最強の「あそぶ車」、見つけました。歳をとったら乗りたい。

投稿: あかひ | 2008年3月19日 (水) 12時39分

俺もこういうのやってますよ。
自分の好みが数値化されると結構面白い。

試乗会はほぼ同じコンディションで乗り比べられるのが良いですよね。

投稿: SJ | 2008年3月21日 (金) 00時26分

サーフボードの場合だけど、目で見て、手にとって、「お、調子良さそうだね」とか言うんだけど、そういうフィーリングみたいのも重要だよね。で、いままでかなりフィーリングに頼っていて(それはそれで結構当たっていたんだけど)、数値や、要素の組み合わせでどういうキャラになるのかを知るのも面白い。スキーのスノーボードもたった数年で道具も滑りもものすごい変化を遂げているから、そのシーンを見るだけでもかなり面白いよね。

試乗会、もう少しハイシーズンのほうがいいなあ。まあ、ハイシーズンはのんびり試乗しているヒマが無いんだけど・・・

投稿: あかひ | 2008年3月21日 (金) 13時59分

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